先日、テレビ(爆笑問題のニッポンの教養)で、野矢茂樹という哲学科の先生(親しみ易い感じで私は好き)が、(役に立たない研究を認めよという意味?で)「無駄の価値を認めよう」って言ったら「無駄の価値を認めたら無駄じゃないじゃん」と突っ込まれてたけど、ネタだったのか。実利主義の発想で実利主義を否定していた。
物質は有限なのでやはり無駄は良くない。思考は無限なので無駄という言葉は意味をなさない。でも、時間には限りがあるので、やはり無駄な思考そして行動はある。「実験する前に論文を書け」というのはそういう意味なのか。科学は哲学と違ってお金がかかるから、税金という有限のお金を使う場合、どうしても費用効果が問題になる。結局、アメリカと日本の違いは、金力の違いなのか。でも、なんだかんだいっても、「日本は凄い」という思いは変わらない。
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◆ 記念講演 石坂公成氏
「科学者の本性と科学技術を支えるピア・レビュー・システム」-(抄)-
一部、メモ。
【科学者の本性について】
○ サイエンスの真実はネイチャーが決めてくれるものであるから、研究者は、ネイチャーのからくりを知るために研究をしている、あるいはからくりを利用し新しいものを作ろうとしている。サイエンスの価値は、小説や芸術と違い、批評家や大衆の評価によって決まるものではない。
○ 研究は常識に合わないことを見つけるのが目的であるから、プロの研究者であるためには、「サイエンスに対して愚直であること」、「自分に対して正直であること」が必要である。結果がその時代の通説から外れても、公表すべきである。
○ アメリカの科学者たちは、他人の研究計画を審査するために大変なエネルギーを費やしている。それは、自分の専門領域の学問の将来に最も大切であると思われる研究を自分たちの手で選択することによって、サイエンスの発展を維持していこうという責任感やプリビリッジの現れである。
○ ネイチャーを相手にしている研究者は、行政官や政治家と違った人生観や社会観を持っているのが普通である。そのため、同じ専門の科学者によるピア・レビューが是非とも必要である。
【ピア・レビュー・システムについて】
○ アメリカのリサーチ・グラント・システムは、サイエンティストの価値観をサイエンスの発展に反映させるようなシステムである。日本でいう競争的研究資金支援システムであるが、これはまさに科学者の価値観に依存するシステムといえる。
○ このリサーチ・グラント・システムは、独創的な考えやユニークな研究計画をその専門の一流の科学者が選択することによって研究費を配分するという方法である。このシステムで大切なことは、それぞれの申請書が、適切な申請者と同じ専門領域の科学者により詳細な研究計画が審査され、学問の将来に必要な優れた研究が選ばれることである。
○ このシステムがアメリカで定着し拡充された理由は、研究者の総意に基づく研究が政府の課題を決めて行わせる研究よりも、はるかに成果があがることが実証されたからである。また、このシステムは、斬新なアプローチをする若手研究者を国内のみならず国外からもリクルートするという結果を招いたのである。
○ アメリカのリサーチ・グラント・システムは、日本と比較し根本的な違いがある。一番大きな違いは、申請書の詳細な実験計画の記載である。つまり、研究計画は実験を行う前に書かれた総説である。日本の研究申請書は、過去の研究業績を載せて将来の研究計画は1 ページくらい、つまり設計図がないのである。
■関連
(2012.10.10/04:22追記)パワー、セックス、自殺
http://ghoti-sousama.blogspot.jp/2012/04/blog-post.html
京大の山中伸弥教授かっこよす - おこじょの日記
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日本の科学行政に対する批判の記事なんか読んで見ると、官僚は日本の未来より自分の未来により関心があるようだ。
それぞれの事情って感じ。そういう意味で、国会答弁が面白い。
第159回国会 文部科学委員会 第22号 平成十六年
文部科学行政の基本施策に関する件について調査
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小柴プロジェクト(ノーベル賞)と和田プロジェクト(アイデアをアメリカに奪われた)の違いはどういう点にあるのか、日本の複雑な事情が語られている。それにしても、加藤紘一議員やるな。
(2012.10.09./17:34追記)【ノーベル賞受賞】山中教授 事業仕分けを批判【2009年】
http://www.youtube.com/watch?v=zCfpxf8qFEs
(2012.10.09./22:20追記)科学者の道「ばかげてる」 受賞決定者、通知表で酷評
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121009/erp12100920550004-n1.htm
2012.10.9 20:48
科学者を目指すのはばかげた考え-。英メディアは9日、山中伸弥京都大教授(50)と共に2012年ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった英ケンブリッジ大のジョン・ガードン名誉教授(79)が、15歳当時通っていた英名門のイートン校の通知表で酷評されていたと伝えた。
「破滅的な学期だった」のひと言で始まる1949年夏学期の通知表で担当教師は、ガードン氏の学業について「満足するには程遠く、リポートの中には50点中2点というものもあった」と指摘。「(教師の)言うことを聞かず、自分のやり方に固執する」とした。
将来の道も「科学者を目指すと承知しているが、ばかげた考えだ。本人にとっても教える側にとっても完全な時間の無駄」と書き、通知表を締めくくった。
この年のガードン氏の生物学の成績は250人中、最下位。(共同)