2012年4月17日火曜日

パワー、セックス、自殺

注:この記事は2008年01月09日の拙mixi日記のコピーです。
 『ミトコンドリアのちから』(瀬名秀明・太田成男)に触発されて『ミトコンドリアが進化を決めた-Power, Sex, Suicide: Mitochondria and the Meaning of Life』(ニック・レーン)http://www.msz.co.jp/book/detail/07340.htmlを読む。『ミトコンドリアのちから 』は、メタボリック・シンドローム、老化、寿命、性といった身近な話題がミトコンドリアを通して語られる。中身が濃くて分り易い本もあるのだなと思った。しかも文庫。

『ミトコンドリアが進化を決めた』は、もしミトコンドリア(の祖先)が内部共生しなかったなら、真核細胞は存在しなかった、従って、多細胞生物も 性も寿命も老化も人間も意識もそしてこんな思い(註1)も存在しなかった、細菌だけの世界であったろう、と思わせてくれる。たった1000分の1ミリにも 満たない世界のミトコンドリアのエネルギー生成の仕組み(呼吸鎖と化学浸透)と、その副産物のフリーラジカルによって、これだけ多様な物語を生んでしまう ことに驚く。

註1) 人間は、200種類、60兆個の細胞からなる。多細胞生物の細胞に、職業選択の自由はない。細胞共同体(個体)の秩序維持のために、個々 の細胞は、ゲノムに書き込まれた能力の一部の能力だけを強制される。疲弊して仕事が出来なくなった細胞は、最後の仕事として後始末し易いよう自らを小片に 刻んで小胞で包んで速やかに共同体から退去するよう仕込まれている。自由を犠牲にしたから80年も(しか)秩序を保つことができる(できない)かは判断 だ。皮膚細胞は思っているかも知れない。心筋細胞や脳の神経細胞のような掛け替えのない細胞になりたかった。俺は使い捨てだ。すぐに新しい細胞に置き換え られる。そういう意味では、IPS細胞の技術は、細胞たちの自由を解放したのかも知れない。

(2012.10.10/04:22追記)細胞の時計は巻き戻せる 山中伸弥京大教授、J. B. ガードン・ケンブリッジ大名誉教授がノーベル生理学医学賞を受賞
http://www.nikkei-science.com/?p=29169

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