『人間にとって科学とは何か』(湯川秀樹・梅棹忠夫)を読む。この本はいいね。日常的なことばで非日常的なことが書かれているのがとてもいい。宗教、占い、科学などがなくならないのは、答えが欲しい、という人間の根元的希求なのだろう。
特に印象に残ったことば。(ことばは原文と同じではありません)
・納得の体系ということでいえば、宗教と似ている。
・科学の特徴は、ものごとを説明できないことが非常に多いこと。
・宗教はすべてを説明してくれる。未来も過去も、答えられないものがない。
・知の衝動、知的好奇心。ありとあらゆるものに関係を結ぶという関係衝動。
・宗教は安心の体系、科学は安心の体系を目指すが不安に満ちている。執念、勇気がいる。
・科学はあるかどうか分らない原理を探しているが、宗教は、はじめに原理がある。
・数の起源。同じもの似たものがたくさんない世界だったら数えようという気持ちなんか起きなかっただろう。単位性をもった同じ種類のものがたくさんあるのが生物の特徴。生物だから同じものが次々に再生産できる。
・言葉による思考の前段階、イメージによる思考。下意識から沸々沸いてくる人間の根元的なもの。生殖作用に似ている。
・価値は意味を持っている。科学には価値ということではカヴァーできない性質がある。価値というものはある種の目的論。目的と離れては、価値は意味を持たない。科学には目的がない面がある。
・科学の行き着く先は、好奇心なんか持つのがあかんのや、といった老子や荘子が理想としているところへゆくのかも知れない。
・最後は主観が勝つのじゃないかと思う。自分が思い込んでしまったら万事解決。
・くすりが宗教の代わりになるかならんか、まだわからんけれども(湯川)。涅槃薬というようなもので・・・(笑、梅棹)。
0 件のコメント:
コメントを投稿